双華姫~王の寵姫~
「これで本当のお別れだね・・・・龍、妾は後宮に戻る。だから・・・・龍も幸せを見つけて・・いつか、また笑顔で会いましょう」



その時二人の隣には・・・違う人がいるだろう。



「私は・・・・想い出だけを抱いて後宮で生きて行くのを辞めるわ。私らしく、後宮と朝廷で生きて見せる」



泣きながら暮らし続けるのは・・・自分らしくなかった。



その事に気付いたのだ。




那智が手を差し出せば、龍も手を差し出す。




「心から大好きでした。たくさんの愛と思い出をありがとう・・・・龍様」




那智なりのけじめだった。





その思いが通じたのだろう。泣きそうな顔になりながらも、龍は応える。





「私も・・・・大好きでした。那智姫様・・・どうかお幸せに」





そうして・・・那智の初恋は終わった。
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