双華姫~王の寵姫~
那智が一人で琴を奏でていると、柚那がやってくる。



「龍兄様が帰って行ったってことは・・・そういう事なのね」



柚那が泣きながら琴を弾く、那智の横に座る。



「・・・・・・・柚那・・・・・・・」




この妹姫は帰って来てから・・・・静かに泣く事を覚えていた。



本家にいた頃は、いつだって声をだして泣いていたのに。




「那智・・・・・那智の出した答え私は応援するよ?」




決して正しいとは言わない。




何が正しいのかなんて・・・・本人でも分からないのだから。





「柚那・・・・妾は・・・龍を傷つけ・・・・志高様を傷つけ・・・・」




生きて行くことは誰かを傷つけて生きて行くことなのだろうか。



ただ・・・愛した人と一緒にいたかった。




その願いはたくさんの人を傷つける。
< 153 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop