双華姫~王の寵姫~
結局柚那の希望が通り、那智は屋敷の外に絶対に出ないならという条件付きで、庭に出る事を許された。




久しぶりに見る空の青さに、少しだけ眩暈がする。




「陽の光がきつい」



吸血鬼かと突っ込みそうになる柚那だったが・・・今はそれどころではなかった。




大きく息を吸うと、柚那は那智に向き直る。




「那智・・・・今・・・何が起きているかは・・知っている?」



父のあそこまでの監視ぶりに、恐らくは知らされていないだろうと思いながらも、柚那は那智に聞く。



が・・・思った通りだった。



「何も・・・父上は何も教えてくれない・・・・」




部屋からも出してもらえなかった那智。



下手をしたら・・・・今日が雨なのか晴れなのかも・・・・分からない。



そこまでして隠したい何かが・・・・・起きているのだという事しか那智には分からなかった。
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