双華姫~王の寵姫~
けれど・・・それはとても難しい事だった。



「那智・・・・私は帰って欲しくない」




那智の願いを尊重してきた柚那だったが・・・・今の朝廷と後宮がどれほど危ないかを・・・柊也に聞いて知ってしまったから。




「嫁ぐ時とは違う。今度は本当に命を取られるかもしれない」




嫁ぐ時も身を切られるような思いをしたが・・・・それでも那智なら死なないと思えた。




父や兄たちが陰から支える事も分かっていたから・・・・しかし今回は違う。




「有栖川家がどちらにもつかないと言っている以上・・・・」




那智を助ける保証はどこにもない。



ここに来て柚那は那智に話してしまった事を激しく後悔した。




話せばこうなる事を分かっていたのに、現実にそうなると・・・心がついていかなかった。




「那智・・・・死ににいくようなものだわ」



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