双華姫~王の寵姫~
父が待っている部屋にやってきた。



「柚那入れ」



怒りを含む父の声がする。



入ってみれば・・・・父と母がいた。母は今にも泣きそうな顔をしている。



「那智に話したな」




父はもう知っているのだろう。柚那が来た時に・・・・覚悟を決めたはずだ。




何も言わず黙っていれば、父が悲しそうに見つめ・・・・母が問う。




「行くのですか?・・・・那智」




部屋から出してもらえない那智は、柚那のフリをして父に会いに来たのだ。




父も分かっていたのだろう。母の言葉に驚く素振りもなかった。





「はい。お世話になりました」



そう言って頭を下げれば、母のすすり泣く声が聞こえる。



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