双華姫~王の寵姫~
「王の兄君が正式な跡継ぎは自分だと・・・昨日の晩公の場で発言したんだ。それに乗っかった馬鹿な華族が、王を殺せと私兵を連れてやってきた」



那智は兵士の言葉にいきをのむ。



「王の兄君は・・・動けない体と・・・・」



だから志高が王位についたはずだ。



「それが・・・不思議なんだけど・・・元気だったんだよな?」



兵士も不思議そうに考えている。


その時・・・後宮の方で火の手が大きく上がる。



「早く逃げろよ・・・・ここはもう・・・・無理だ」



去って行こうとする兵士をそれでも、那智はとどめる。



「あなたは・・・・どちらに付くつもりなんですか?」



王の兄か・・・王かと・・・・那智は聞いた。




兵士は驚いたような顔をしたが、きちんと答えてくれる。



「俺は・・・今の王に不満はない。だから・・・・」



それが兵士や農民町民の答え。




それを聞き、那智は父からもらった有栖川本家の姫の証を見せた。


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