双華姫~王の寵姫~
凄まじい反撃に・・・何度も心が折れそうになるのを我慢した。



(妾は・・・この国の・・・正妃だ・・・)



自分がくじけるわけにはいかない。




この兵士の名は俊太というらしいが・・・・俊太のように王を助けようと走り回っている兵士は結構いたのだ。




その兵士より早く、那智が諦めるわけにはいかなかった。



その時・・・・俊太が簪を拾い上げた。



「那智姫様・・・これは・・・・」



そこにあったのは正妃の証である簪・・・・あの日志高が那智から抜いてくれたものだった。



那智はそれを俊太からもらうと・・・・グッと顔をあげ、その簪を髪にさす。



それを俊太は「見る人が見れば・・・バレてしまいます」と止めるが、那智は外さなかった。




「これで良いのです。・・・・私がこの国の正妃です」



強い光を宿す目が・・・そこにはあった。
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