双華姫~王の寵姫~
俊太もそれ以上は言わなかった。


これが・・・自分たちの国の正妃・・・・それがどこかで誇らしかった。



「分かりました。私が命に代えてもお守りしますので・・・・」



そう言うと、那智は俊太の背中をバチンと叩く。



「私の為に命を捨てるな。・・・簡単に捨てて良い命など一つもない」



那智は俊太の顔を見ながらつぶやく。



そして・・・側に落ちていた小ぶりな剣を取る。



「妾は守られるだけの姫じゃない。ここからは・・・妾も戦う」




慣れたように扱う那智に、俊太は驚いて言葉が出てこない。





那智の剣の扱いは・・・・あまりに慣れていた。




那智はふふふと笑うと、俊太を面白そうに見る。




「命をかけて生きてきたのよ」




強くなければ・・・・那智は生きられなかった。
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