双華姫~王の寵姫~
どこまで進んでも・・・・志高の姿は見つからない。



後宮の那智の部屋に来ても、志高の私室に行っても・・・・その姿を見つける事はできなかった。



後宮に姫は・・・誰もいなかった。




那智を見つけた女官が何人か泣きながら寄ってきたが、彼女たちを俊太に外に逃がすよう頼んだ。




最後まで俊太と女官には反対されたが・・・那智は譲らなかった。



このまま後宮にいては・・・殺されるかもしれない。



去っていく那智に女官が声をかける。



「那智姫様・・・どうかご無事で・・・・」



その言葉に那智は笑顔で手をふる。



人形姫と呼ばれていた那智の初めての笑顔・・・・それを女官たちはただ見ている事しかできなかった。




女官たちの話では、王は後宮に那智がいなくなって以来来ていないらしい。




そんな王に姫達も不満がたまり・・・今回の件で我先に後宮を出て行ったようだ。
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