双華姫~王の寵姫~
「・・・・・帰ってきました」



貴方の元に・・・・那智はそう言って優しく志高を抱きしめる。



未だに驚きで体を動かせない志高の目が、那智の髪を見て止まる。



そこには・・・・那智が先ほどさした、正妃の証である簪があった。



「これは・・・・簪・・・・」




あの日志高が那智から抜いたものだった。




「妾は志高様の正妃なのです。だから・・・・一緒に」




死ぬなら一緒に・・・・そう思って那智はかけてきた。




「私は逃げろと・・・・・」



言ったはずだと志高が那智を睨む。



それを流しながら、那智は微笑む。



「逃げてきましたよ?ここまで」




逃げたどころか・・・倒してきた。様々な者を・・・。





那智がどうやってここまで来たかを知らない志高は、那智を見ているだけだ。


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