双華姫~王の寵姫~
「だって・・・・・本当に分からないんですもの・・・でも・・・・」



そう言うと、那智は自分から口づけを志高に交わす。



-チュ-


その音が、自分でしたのにもかかわらず恥ずかしかった。



「口づけをしても良いって思うくらいには好きですよ?」




おちゃらけて言えば、志高から深い口づけが返ってくる。




「ん・・・・あぁ・・っ・・・志高・・さま・・・・」




入ってくる舌をよけながら、那智が志高を見れば志高もまた那智を見ていた。




「それでも良い・・・・那智華・・・が帰って来てくれたから・・・・」




それが那智の耳に寂しく・・・愛しく響いた。




その時・・・・ガサッと音がする。



草木をかき分け・・・・誰かがやってきたのだ。



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