双華姫~王の寵姫~
志高が立ち上がり、那智の父を見る。



「どういう事だ・・・余は聞いていない・・・」



普通なら唯一残っている家族である、志高に連絡がくるはずだ。



「泉ノ宮の当主達が・・・隠したようです」


-ガタッ-


志高が勢いよく立ち上がる。


そしてそのまま怒り出て行こうとする志高を那智が止めた。



「どちらに行かれるのですか?」



那智の声に志高は少しだけ落ち着いたのか、肩の力が抜けたのが分かる。




「泉ノ宮の所に行って聞いてくる」



そうだろうなと思っていたが・・・・考えていた通りの答えが返ってくる。



「行ってどうするのです?」



那智の目が一瞬きつくなる。



「何故・・・黙っていたのかを・・・・」



何故黙っていたかなんて分かるはずだが・・・と思いつつ、那智は志高をもう一度椅子に座るよう促す。




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