双華姫~王の寵姫~
「先にやる事など・・・たくさんあるでしょう」



那智は溜息をはき、志高を落ち着かせる。


那智の言葉に、那智と王の関係をよく知らない臣下は顔色が悪くなるが・・・志高は以外にも那智のいう事を怒らず聞いている。




「まだ城は争いの爪痕があちこちにあります。これから王都にはその余波が行くでしょう。それに・・・」



そこで言葉を切ると、那智は優しく志高を見る。



「先に兄君様をきちんと送ってさしあげましょう?」



その言葉に志高がハッとなる。



「馬鹿な奴らはしばらく牢屋に入っていてもらえば良いじゃないですか?その間に亡くなってくれたら・・・手間が省けますし」



とても良い笑顔で笑っているが・・・・目は笑っていない。


那智自身、泉ノ宮の者達がやった事を許してはいない。



きちんと裁き、それなりの刑についてもらう。




「ほら・・・やる事はいっぱいです。だから、席に戻ってください」



手を引き席に戻せば、志高も何も言わず席に戻った。

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