双華姫~王の寵姫~
それからの数日はまさに目も回るような忙しさだった。



志高も那智も身分に関係なく、働き続けたのだ。



何度・・・このままトンずらしようと思ったか・・・・そのたび、どこからか現れた志高に叱られていた。



そして・・・やっと今・・・・ホッと一息ついたのだ。



「美沙・・・・おなかすいたのじゃ・・・・」



那智がお腹を押さえながら美沙を見れば、我慢してくださいと言われてしまう。



後宮も人手不足になり、女官たちは対応に困っている。



その時・・・最近では慣れた女官が走る音が聞こえてくる。



昔の静かな歩き方が嘘のように・・・今では走り回る音が当たり前になりつつある。




-ガラ-



「那智姫様!!!!主上がお見えになりました!!!!」



開けるなり叫ぶ女官に那智は笑い、美沙は顔をしかめる。



しかし・・・女官の放った言葉に・・・那智の顔は曇った。
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