双華姫~王の寵姫~
-後日談-


「主上・・・・また那智姫様が・・・・」



慌てて入って来たのは、最近那智の助言で昇進した俊太というまだ少し幼い兵士。



「・・・・・今度はなんだ・・・」



うんざりしたように志高が聞けば、俊太は顔が真っ青である。



「文を置いて・・・いなくなりました」




俊太が渡した文にはでかでかと短い文が書いてある。



【謝るまで帰りません】



その文字に志高は青くなると・・・後宮に走っていく。



冷徹非道と思われた王が・・・・正妃である那智にだけ弱いのは今では有名な話だ。



今回も些細な事で王が怒らしたのだろう。



慣れたように那智は王宮を抜け出した。



遠くから「謝るから帰ってこい!!」という志高の声が響いている。



今日も・・・陽の国は平和である。
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