双華姫~王の寵姫~
「待て」
絶対零度の声が聞こえてくる。
幻聴だと自分に言い聞かせようとするが、それを許さぬと言わんばかりにもう一度声がする。
「待てと言っている」
恐る恐る振り返るとドス黒いオーラの王がいた。もう逃げられない・・・そう悟った幸也は王の近くへ行った。
「何か御用ですか?」
諦めた幸也は素直に王に聞いた。
「有栖川当主からの文をどうにかしろ」
無理難題が幸也に降ってきた。
「それは私にはどうにもできません」
即答えるが、それで王が納得するなら、先ほど逃亡に失敗はしなかっただろう。分かっているが言わずにはいられなかった。
「毎日毎日・・・那智が心配だ。毒が強くなっている。どうにかしろ。返事くらいよこせ・・・その他にもどうでも良い事を何通も送りつけてくる」
その不幸の手紙並みの当主の執念を向けられる王には同情はするが、やはり自分ではどうにもできない。
「返事は・・・書かれているのですか?」
当たり障りのない質問をしてみるが、その質問が間違っていたことを幸也はすぐに実感することになる。
「最初は書いていた。しかし一通書く前に十通届くので途中から諦めた」
絶対零度の声が聞こえてくる。
幻聴だと自分に言い聞かせようとするが、それを許さぬと言わんばかりにもう一度声がする。
「待てと言っている」
恐る恐る振り返るとドス黒いオーラの王がいた。もう逃げられない・・・そう悟った幸也は王の近くへ行った。
「何か御用ですか?」
諦めた幸也は素直に王に聞いた。
「有栖川当主からの文をどうにかしろ」
無理難題が幸也に降ってきた。
「それは私にはどうにもできません」
即答えるが、それで王が納得するなら、先ほど逃亡に失敗はしなかっただろう。分かっているが言わずにはいられなかった。
「毎日毎日・・・那智が心配だ。毒が強くなっている。どうにかしろ。返事くらいよこせ・・・その他にもどうでも良い事を何通も送りつけてくる」
その不幸の手紙並みの当主の執念を向けられる王には同情はするが、やはり自分ではどうにもできない。
「返事は・・・書かれているのですか?」
当たり障りのない質問をしてみるが、その質問が間違っていたことを幸也はすぐに実感することになる。
「最初は書いていた。しかし一通書く前に十通届くので途中から諦めた」