双華姫~王の寵姫~
すれ違った女官達は頭を下げながらも、那智が向かう方角を見てお互い目を合わせている。
その目にはお可哀想にとはっきり出ていた。
前を向きながらもその姿は那智の目にも入ってくる。
今日何度目かになるため息が那智の口から漏れたのと、華の丸に着いたのはほぼ同時であった。
「那智姫様お越しになりました」
女官の声に部屋は一瞬にして静まり返る。
紗里や瑠璃は目で合図を交わすと、女官に声をかけた。
「お招きしてちょうだい」
那智が部屋へ一歩足を踏み入れると…そこは修羅場でした。
なんて事はなく、表面上は穏やかな空気が流れていた。あくまでも表面上だが…。
「本日はお招き頂きありがとうございます。私のような者を仲間に加えて頂き嬉しゅうございます」
挨拶は基本だと教えられ育った那智はどこにいてもどんな人に対しても挨拶を忘れない。
まぁ…ごくまれにわざと忘れる事はあるとして。
「堅苦しい挨拶はなしですわ。那智姫様こちらに来て下さい」
紗里が自分と佐由良の間に那智を呼ぶ。
「さぁどうぞ」
その目にはお可哀想にとはっきり出ていた。
前を向きながらもその姿は那智の目にも入ってくる。
今日何度目かになるため息が那智の口から漏れたのと、華の丸に着いたのはほぼ同時であった。
「那智姫様お越しになりました」
女官の声に部屋は一瞬にして静まり返る。
紗里や瑠璃は目で合図を交わすと、女官に声をかけた。
「お招きしてちょうだい」
那智が部屋へ一歩足を踏み入れると…そこは修羅場でした。
なんて事はなく、表面上は穏やかな空気が流れていた。あくまでも表面上だが…。
「本日はお招き頂きありがとうございます。私のような者を仲間に加えて頂き嬉しゅうございます」
挨拶は基本だと教えられ育った那智はどこにいてもどんな人に対しても挨拶を忘れない。
まぁ…ごくまれにわざと忘れる事はあるとして。
「堅苦しい挨拶はなしですわ。那智姫様こちらに来て下さい」
紗里が自分と佐由良の間に那智を呼ぶ。
「さぁどうぞ」