双華姫~王の寵姫~
そして今に至る…。



いきなり入ってきた王に紗里達は椅子を立ち礼を取っている。




那智も一応礼を取っているがやる気が感じられない。




紗里達からは王の様子を窺おうとする気配がビシビシと伝わってくる。




どこから聞かれていたのか気になって仕方がないのだろう。




那智は那智で興味がないように王を見ている。



「ふむ。誤解は解かねばな。なぁ…有栖川の姫」




名指しで呼ばれた那智は周りから見れば分からないがめんどくさそうに答える。





「はい。主上。紗里姫様達にどうか本当の事をお話になってください」




「と言うことだ。有栖川の姫の言うことは本当である。余は有栖川の姫が後宮入りをした時に会ったくらいだ」




紗里達が明らかにホッとしたのが王にも那智にも分かった。





しかし次に王が発した言葉によってその空気は呆気なく壊された。





「しかし有栖川の姫が来てからもうだいぶ立つ。後宮にも慣れただろう。近い内に姫の下に行こうとは思っている」





爆弾が投下された。最大級の爆弾が。


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