双華姫~王の寵姫~
王の口からでた言葉に那智も紗里達も言葉を失う。




誰よりも早く覚醒したのはやはり那智だった。




自分を取り戻し王へと視線を向ける。





目があった王の視線は「文句ないよな」と言っているように那智は感じられた。




文句など言えるはずがない。那智は王に嫁いだ身だ。





しかし王のものになる…それが現実味を帯びてくると…考えたくはなかった。




那智と王が見つめ合っている(睨み合っている)と紗里が我に返っていた。




しかし那智も王の嫁に変わりはない為何も言えない。




王が那智の所にいくのを止める権利は紗里にはないのだ。




王が那智の下にいく。何故か不安でたまらない。




王は今まで誰一人寵姫を作らなかった。皆同じだったのだ。



それが那智が来てから少しずつ変わって行っている気がする。





不安で紗里が顔上げれば、まだ二人はお互いを見ていた。そこには入り込めない何かがあり、紗里は那智が憎らしかった。





那智と王の空気を壊す事もできず、その日はお開きになった。





王の訪れにより終わった茶会は、それぞれの胸に様々なシコリを残し、後にシコリは大きさを増す事になる。



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