双華姫~王の寵姫~
すぐに床に入ると思っていた那智は、その場からなかなか動かない王に戸惑っていた。
そして王の視線の先にあるものを見つけ、顔色が変わる。
(文を・・・)
しまい忘れたと思った時には遅かった。王は柚那の文に手をかけている。
「これは、一の姫からか?」
那智の肩が揺れるのを王は見逃さなかった。
「そうでございます・・・」
王の目を見ようとしない。その時王はある事に気が付いた。
無言で那智の元に近付くと、無理やり上を向かせる。那智の目は赤かった。
「泣いたのか?」
よく見れば、化粧も少しだけ乱れている。顔をそらそうとする那智を王は逃がさない。
「どうなのだ」
嘘は許さぬとその瞳は語っている。嘘を言えばすぐにバレルだろう。
「双子の姉の手紙に・・・故郷が懐かしくなったのです」
小声だが那智は確かに答えた。
「ほう。故郷に帰りたいのか?」
今まで後宮に嫁いできた姫は帰りたいなどと思ったことはないだろう。
「・・・・・・」
無言は肯定だった。
王の心はまたも揺れる。人として最悪だと分かっていても文に手がのびる。
そして王の視線の先にあるものを見つけ、顔色が変わる。
(文を・・・)
しまい忘れたと思った時には遅かった。王は柚那の文に手をかけている。
「これは、一の姫からか?」
那智の肩が揺れるのを王は見逃さなかった。
「そうでございます・・・」
王の目を見ようとしない。その時王はある事に気が付いた。
無言で那智の元に近付くと、無理やり上を向かせる。那智の目は赤かった。
「泣いたのか?」
よく見れば、化粧も少しだけ乱れている。顔をそらそうとする那智を王は逃がさない。
「どうなのだ」
嘘は許さぬとその瞳は語っている。嘘を言えばすぐにバレルだろう。
「双子の姉の手紙に・・・故郷が懐かしくなったのです」
小声だが那智は確かに答えた。
「ほう。故郷に帰りたいのか?」
今まで後宮に嫁いできた姫は帰りたいなどと思ったことはないだろう。
「・・・・・・」
無言は肯定だった。
王の心はまたも揺れる。人として最悪だと分かっていても文に手がのびる。