双華姫~王の寵姫~
「それでは・・・今日も頑張って・・・生き残りましょうね?」


そう言って那智は志高を見送った。


部屋に一人になれば・・・志高に送られてきたという男半兵衛が・・・・幸也に連れられてやってきた。


那智が美沙を呼び半兵衛と共に毒物を処理してほしいと頼めば、美沙も快く了承してくれた。



二人が出て行く姿を見送り、那智は幸也に向き直る。



「幸兄様・・・・お久しぶりです。お元気そうでなによりですわ」



そこには幸也がよく知る那智がいた。



那智が後宮に入って以来、時々遠くから那智を見かけた。


そのたび・・・人形のような那智に心が痛ん
だ。



しかし今幸也の前にいるのは・・・幸也がよく知っている那智だった。



「那智姫様もお変わりなく・・・」



幸也がそう言えば、昔と変わらぬ怒り方で那智が怒る。


「ここには幸兄様と妾しかいません。昔のように・・・那智ちゃんって呼んでください・・・」



まだ・・・幸せだった頃のように。


那智がそう言ったような気がした。
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