双華姫~王の寵姫~
那智のあまりにも悲しそうな顔に・・・美沙は言ってはいけないと分かっていても・・・。


「那智姫様・・・・にげ」


逃げましょうと言おうとした・・・その時。



「那智姫様・・・時間にございます」


那智の気持ちも・・・・美沙の気持ちも・・・打ち砕く声がした。


「美沙。時間だ。簪を・・・・」



未ださしていなかった簪を・・・



正妃の証の簪を・・・・



美沙は震える手で、那智の震える髪につける。



「美沙・・・・ありがとう。でも・・・・」



これが妾の運命だ。



そう言うと一つ大きな息を吐き・・・・那智は出て行った。



正妃として王の横に行くために・・・。



那智の自由がなくなる瞬間を・・・美沙はみた気がした。


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