双華姫~王の寵姫~
宴の席に続く扉の前では志高が待っていた。


「では・・・那智華。手を」


短く言うと、志高は那智の手を取り歩き出す。


那智の自由を奪う・・・その場所に。


一瞬止まりかけた那智を、志高は横目でみやり、少しだけ歩く速度を早める。


そうしなければ・・・・那智が逃げて行く気がした。



扉の向こうで王と正妃が来たのを告げる声がする。


「那智華・・・・行くぞ」


それが那智には死の宣告のように聞こえた。



那智はまだ知らない。



扉の向こうに・・・・愛した龍がいることを。




自由を失った日・・・・



愛する人と再会する・・・・



運命とは・・・・残酷に回るもの・・・・


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