それでも、まだ。
『―…と言う訳です。』
セシアが一通り説明すると、ジルは顔がものすごく青白くなっていた。どうしたのだろうか。
『ジルさん?』
セシアが不思議に思ってジルの顔を覗き込むと、ジルはいきなりセシアの両肩を掴んだ。
『ど、どうしたんです…』
『3つ目の黒猫がいたのか?』
ジルはセシアの言葉を遮って口を開いた。相変わらず表情は優れない。
『は、はい、そうですけど…。』
セシアはジルの行動を怪訝に思いながらもそう答えると、ジルはますます顔面蒼白になった。
そしてセシアの両肩を放すと、そのまま腕をぶらりと垂らした。
今度は放心したような状態だ。
『ちょ…ジルさん。さっきからどうしたんですか。』
ジルの行動についていけずに若干焦りながらジルに詰め寄ると、ジルは冷や汗を流しながら口を開いた。
『…マダムが、ある噂を教えてくれたんだ。』
ジルの声は少し震えている。
『……噂?何のです?』
墓場を風が辺りをヒュッと吹き抜けた。
『…この墓場には3個の目を持つ黒猫が現れるらしい。そしてその姿を見た者、…いや、3秒以上見続けた者は――…』
ジルの話を聞くにつれて、セシア自身も冷や汗が流れてくるのを感じた。
『……その黒猫の持つ闇に吸い込まれてしまって、二度と戻って来れなくなる、ってな。』
懐中電灯を持つ手が震えている。
『そ、それじゃあ神田は……!』
――ガサガサ…
『『――…!』』
2人はバッと振り返った。
『……にゃー!』
『『で、出たぁぁぁぁあ!』』
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