それでも、まだ。
だが飛び掛かろうとした瞬間。
『……助けてっ…。』
2人は動きを止めた。
――今の声は…。
『『か、神田…!?』』
2人は同時に驚いた声を上げた。
『…ジル…セシア…早くっ…。』
『ええっ!レンさんまで!?』
声は黒猫の後ろから聞こえてくる。生憎暗くて、どのような状態になっているか分からないのだが。
『ジ、ジルさん!どうします?下手に動けない…』
セシアが構えたまま横を見ると。
『名無阿弥陀仏…寿解無寿解無……。』
『ジルさぁぁぁぁぁん!!』
どうすればいいだろうか。自分ももう半泣き状態である。刀を持っている手はびっしょりと汗ばんでいて気を抜くと刀を落としそうだ。
『せめて闇だけでも吹き飛ばせれば……!』
セシアは自分に言い聞かせるように言うと、風をより一層強く吹き起こした。
そして刀を振りかざした瞬間。
『いい加減にしろテメーら。』
後ろからベシッとジルとセシアは頭を叩かれた。
『ア、アヴィルさん……?』
呪文のようにお経を唱えていたジルも、驚いたようにアヴィルを見ている。
『ったく……面倒なことしやがって…。…おい、レンも真理も出てこい。』
『『え…?』』
ジルとセシアが再び前を見ると、暗闇の中から愉しそうなレンと申し訳なさそうな神田が現れた。
レンは黒猫を、神田は白猫を腕の中に抱えている。
『『えぇ……?』』
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