それでも、まだ。
ひたひたと長く薄暗い廊下を歩きながら神田はどこに向かうか考えていた。
着替えた服はやはり黒ベースのワンピースであり、長さは神田の膝下くらいまであった。
部屋はいくつもあるが開けてみるとどれも何もない部屋のようで、神田はうーんと考え込んだ。
そうしている間にふと前を見ると、見覚えのある扉が見えた。
『これは…、昨日の。』
そこにあったのはモニタールームにつながる頑丈そうな扉であった。
―――でもここはパスワードが必要そうだし私には入れないか。
神田は諦めてその前を通り過ぎようとした。…が。
『開いてる……?』
扉は閉まりきっておらず、僅かに開いていた。
神田は一瞬ためらったが、キョロキョロと周りを見て誰もいないことを確認すると、その僅かな隙間から中に入った。
『わあ……』
相変わらず部屋は多くのモニターに覆いつくされており、様々な映像が映っていた。
恐る恐る奥に進んでいくと、昨日シーホークが座っていたデスクがあった。
よく見るとデスクの下には何本かのピデオテープが置いてあるのに気が付いた。
あまり深く考えずにそのビデオテープを手に取りまじまじと見て、神田は目を見開いた。
そのビデオテープにははっきりと書かれていた。
< 石井結菜 >
と。