それでも、まだ。
『どうしました、真理様?顔色が優れませんが。』
『い、いえ!大丈夫です。なんでもないです。』
シーホークがいなくなってから3日目の朝食で、神田は慌てて答えた。
あのビデオを見てから他にもあるか探したがすべてのビデオはセシアの人間のころの生活を観察しているものであり、次の日もモニタールームをくまなく探したりビデオと見返したりしたが、他には何もなかった。
ぼんやりといつも通り変わらずおいしい朝食を神田は眺めた。
―――真理ちゃん、僕がやってみるよ~!
―――やめてください、お腹こわします。
―――まったくだ、俺が作ろう。
―――いや、シキも作ったらあかんやろ!
ぎゃあぎゃあうるさかった食卓を神田は思い出した。確かに味は今の食事よりは劣っていたかもしれないが、あの食卓にはなんというか、愛情のようなものがあった。
『…………』
神田は感情を押し殺した。
自分であの場所を抜け出してきたのだ。そんなわがままは許されない。
『あの、シーホークさんはいつ帰ってこられますか?』
『そうですね…きっと昼過ぎには帰ってこられるかと。』
今日はシーホークも帰ってくる。
この胸に抱いている疑問を今日こそ聞けるのだ。