それでも、まだ。
ガクガク足が震えるのを抑えながらそのまま見ていると、リーヤの手には先程みた白い粉末のようなものを持っているのが見えた。
あれが、もしかしたらSeakの力を増大させる薬?
牢屋の中にいるSeakたちは、興奮しているのか、鉄の柵をつかみガシャガシャと音を立てながら暴れている。
『どうしましたか?』
ハッとして神田が振り返ると、笑顔のシーホークが立っていた。しかし、目は笑っておらず、神田は思わず後ずさりした。
『どうですかね、私がいない間にいろいろ知ることは出来ましたか?』
その何もかも見透かしているような言葉に神田は自分の中での疑問が確信に変わっていくのを感じた。
『わざと、私に教えたんですね…』
神田はポツリといった。シーホークは相変わらず涼しい笑みを浮かべている。
『セシアは…結菜は、あなたたちが殺したんでしょう?』
神田は目の前の男と睨みながら言った。すると、驚きもせずにシーホークはますます笑みを深めた。
『あなたたちは、何をするつもりなんですか?あの粉末を使って!人間を滅ぼすつもりですか?』
神田は震える声を抑えて必死に言った。
しばらくそのまま黙っていたシーホークだったが、ようやく口を開いた。
『そうですよ。私たちがあなたの親友を殺しました。』
神田はぎりっと歯を食いしばった。