それでも、まだ。
『神田さんのおかげで、私たちにとって一番邪魔な、ベルガたちの組織がここに来なくてはならなくなったからです。…あなたを助けるために。』
神田は目の前が真っ暗になった気がした。
『彼らは世界会議で問題は起こしたくない。もう3週間後ですしね。私たちとの交戦は避けたいはずです。しかし、あなたがこちらに来たことにより、そうも出来なくなった。』
神田はへたりと座り込んだ。
―――私の、私の勝手なわがままのせいで…?
『あちらの組織にいた方が安全にいることが出来たのに、あなたやセシアさんを守るために事実を教えることをためらっていたのに、あなたはそれを信じようとしなかった。結果的に、みんなを危険にさらすことになった。』
『………っ!』
神田は立ち上がり、シーホークの横を通り抜けて走り出した。
『…今更逃げられるとでも?』
―――早く、早く逃げなきゃ。そしてみんなに伝えなきゃ…!
階段を上がり武器庫を出て、一直線に出口の扉がある広場へ出た神田は外へ出ようとした。…が。
『おいおい。今更だぜ?』
神田はバタバタと暴れたがリーヤに軽々と捕まった。
『離して…っ』
後ろからシーホークがゆっくりと歩いてきて、神田の目の前に止まり、薄気味悪い笑みでほほ笑んだ。
『絶望を知りなさい。……地下に連れていきなさい。手錠は別に要らないでしょう。』
『…っ!いや、いやぁぁっ!!』
神田の叫びは、広い屋敷の中に寂しくこだましていった。