それでも、まだ。




―――――



『よっしゃ、みんな行くでー!』



セシアが蘭に会った次の日、レン、ジル、シキ、マダム、セシアの5人は準備をして組織を出た。5人一緒に任務に行くというのは珍しいことである。



『どうせならベルガさんとアヴィルさんも一緒に来れたら面白かったのにね~。』



レンは腕を上に伸ばしながら言うと、隣にいたジルがはぁっとため息を吐いた。




『面白がるな。それに今日あの2人は蘭さんのところに行くらしいしな。世界会議についての資料を送ってもらうとかでな。』



レンはそのまま頭の後ろに腕を組みながらふぅん、とつぶやくと、スタスタと歩き出した。他の幹部たちもその後ろに続いた。



セシアもその背中についていきながら腰に差してある刀の柄をギュッと握った。




今日の任務の目的地は、漆黒の森である。
…とは言っても、戦いに行くのではなく、まず漆黒の森のどこに黒組織の拠点があるのかを突き止めるのが今回の目的である。



幹部総出でこの任務を遂行するのだ、おそらく簡単なものではないのだろう。




『…そういえば。』



セシアは思い出したように口を開いた。



『漆黒の森に入っても出られるんですか?なんか入ったら出られないとか言ってませんでした?』



セシアが言うと、隣を歩いていたマダムが答えた。



『まあ普通に入ればね。でも今日はレンとジルがいるから、大丈夫なのさ。』



『…どういうことですか?』



セシアが前を歩くレンとジルに聞くと、レンは顔だけ振り返りながら言った。



『セシアには言ってなかったかな?僕たちは超感覚っていう感覚を持っているんだよ。まあ簡単に言えば、自分が今どこにいるのか、どこからどのくらいの距離の場所にあるのかを把握できるんだよ。』




『…つまり、逆に言えば、組織など既に知っている場所はどこにいてもわかる。』




セシアは最初漆黒の森で神田と会った時のことを思い出しながらレンとジルの言葉を納得したように頷いた。…だからあのときは抜け出せたのか。






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