それでも、まだ。
『……』
神田とセシアは暫く動くことが出来なかったが、しばらくして神田はスッとオルオレータの両手を握った。
『…?』
不思議そうに涙で潤んだ瞳を向けたオルオレータに、神田は少しだけほほ笑んだ。
『オルオレータさんのせいじゃありません。…辛かったですよね。私は人間だし、そんな偉そうなことも言えませんけど、これだけははっきり言えます。』
その言葉に、オルオレータは目を見開いた。
『…!ありがとう…でも、私のせいなのよ。私はこの森を守るべき存在なのに、それが出来なかった。リリアのお守りがなければ、今頃私も死んでいただろうし。』
神田はギュッと握っていた手に力を込めた。
『いいえ。オルオレータさんは守っていました。その証拠に、これだけ森が闇に包まれていながら、まだ森は完全に死んではいません。まだ、取り戻せます。』
『え…でも…どうやって…?』
強く言い切る神田に、戸惑いながら言うオルオレータに、今度はセシアが口を開いた。
『…そうだな。まだ、取り戻せる。…シーホークを倒せばいいんだ。』
『…!確かに、シーホークを止めることが出来たら森は回復はするわ。でも、私には奴に対抗する力がもうないの。』
その言葉に、神田とセシアは顔を見合わせていたずらっぽく笑った。
『…?どうしたの?何か変なこと言ったかしら?』
不思議そうに首をかしげるオルオレータに、2人は向き合った。
『…私たちがシーホークを止めるさ。なんとしてでも。』
セシアがいい、神田も大きく頷いた。