それでも、まだ。
『そんな…無理よ。奴の闇は大きすぎる。あなたたちも奴の力は見たことがあるでしょ?』
落胆して俯くオルオレータにセシアはそうだな、と頷いた。
『…確かに、今すぐシーホークを倒すのは無理だな。だから、周辺から攻める。』
『周辺?』
『そうだ。何か知らないか?1週間前、どこから闇が強まってきたか、とか。この森を包んでる闇は最初はシーホークのものではなかったんだ。だから、どこからか闇を吸い取っているんだ。その元をなくせば、今以上に闇が浸食するのを抑えられるかもしれない。』
その言葉に、オルオレータは神田の手を離し、手を顎に当て考え込んだ。
『…確かにそうかもしれないわね。…どうだったかしら、確か、あれは南から来てたはず。うん、そうよ。』
『南か…』
『セシア、なんか心当たりあるの?』
何か引っかかったように呟いたセシアに神田は尋ねた。
『…この世界は結構広いんだ。行ったことがあるのかどうかは覚えてないけど、地図とかを見るとな。で、この組織は北に位置しているんだ。というか、Seakはほとんど北に住んでいるんだ。南に行くと、月明かりも届かなくなって、本当に真っ黒な世界になってるって、確かレンさんが言っていた気がする。…でも。』
『でも?』
『南には、1つだけ村があるらしい。ここら辺とは遠く離れすぎて、もう一つの国のようになってるって噂もある。なんでも、この世界の北と南は険しい山脈のせいでほどんど行き来出来ないんだって。私たちの組織も、南は管轄外みたいだし。』
『そうなんだ…行ってみる価値はありそうだね。』
『ああ。南といってもどこ探せばいいか分からないしな。行くか。』
『ち、ちょっと待って!』
黙って2人のやりとりを見ていたオルオレータは慌てて止めた。