それでも、まだ。
2人がオルオレータの方を振り返ると、オルオレータは信じられないといった表情をしていた。
『本気?何が起こるか分からないのよ?未知すぎる…危険すぎるわ。』
『…ここで待っていても闇に浸食されるのを待つだけだ。それなら行くさ。この森を、世界を闇になんか浸食されるもんか。』
『そんな、なんでそこまでこの森のために…あなたも!人間でしょ?どうしてそこまでこの世界のために尽くそうとするの?』
『確かに、私は人間だし、力もないし、何も出来ないかもしれません。でも、この世界には私にとって大事な方たちがたくさんいるんです。少しでも、力になりたいんです。』
迷いのない2人の答えに、オルオレータは呆気にとられた。
『じゃ、私たちは行ってくる。…あ、まずは森を抜けなきゃか…』
『ちょっと待って!!!』
歩き出そうとした2人を、またオルオレータは呼び止めた。しかし、先程とは違い、決心したような表情をしていた。
『あなたたちの気持ちは分かったわ。…私だけ諦めてちゃかっこ悪いわ、私も協力するわ。』
少し乾きかけていた涙を拭いながらオルオレータは笑った。
『…私の力で、南のその村の近くまで行かせてあげる。』
『…そんなことが出来るのか?』
セシアは驚いた声を上げた。
『ええ。テレポートとは少し違うけど、似たようなものね。私は、この世界の水があるところへは水を介していけるのよ。少し頑張って力を使わないといけないけどね。その力であなたたちを運ぶわ。きっと、国になっているのなら、それなりの水がある場所にあるはず。それを頼りにやってみるわ。』
神田とセシアは顔を見合わせた。そしてまたオルオレータに向き直り、大きく頷いた。
『…ありがとうございます。オルオレータさん。よろしくお願いします。』