それでも、まだ。
王女と騎士
―――ったく、…って。
―――まあ…そう……るな。
『…ん…?』
レンは自分の周りで話す声が聞こえてきて、意識を浮上させた。
『おお!気が付いたか?』
『ったく、何してんたレン。』
そこにはベルガとアヴィルがいて、2人とも心配そうにレンを見下ろしていた。
『え…ベルガさん…アヴィルさん…どうして…』
少しまだ意識がはっきりとしない中、レンは言った。
周りを見ると、真っ白な壁で、組織の医療室なのだということが理解できた。
『どうしてって…お前らが漆黒の森の外で倒れてたんだろうが。』
アヴィルのその一言に、レンは意識を失う前の自分たちに起こったことを一気に思い出し、ガバッと飛び起きた。
『そうだ!シーホーク…うっ』
しかし思うように体は動かず、ふらりとしたよろめいた体を、ベルガが支えた。
『無理をしない方がいい。闇の攻撃を深く受けていたんだ。…そうか、やはりシーホークに会ったのか。』
『…はぁっ、他のみんなは?』
息を乱しながらも言うレンに、アヴィルは顎でクイッと横をさした。
レンがそちらを見ると、ベルガたちによって今まで見えなかったが、ジル、マダム、シキも同様にベッドに寝かされていた。…しかし。
『…セシアはいなかったがな。』
アヴィルが苦虫を噛み潰したような表情でポツリと言った。
レンは血の気が引いていくのが分かった。