それでも、まだ。


『…あの熊が危険過ぎるんじゃない。漆黒の森の存在自体が危険過ぎるんだよ。』



暫くして、ようやくレンは話だした。


『どうして…です?』


レンは質問には答えずに、セシアに向かって口を開いた。


『……。セシア、僕たちの仕事は何?』


『…?殺し屋です。』


セシアは怪訝に思いつつ素直に答えた。


『そうだね。僕たちはこういう仕事だから、情報が命取りになる。だから簡単に情報は流さない。』


『だから私には言えない、と?』

『そ。でもセシアを疑ったりしてるわけじゃないよ。まだ、記憶がない状態で、危ないからね。』


レンは不満そうな表情になったセシアに言い聞かせるように優しく言った。


それはつまり…

記憶がないセシアに情報をやたら流すと、そこを誰かが狙ってくるかもしれないってことであろうか。



『…分かりました。今は深く聞きません。でも、それなら尚更、神田を置くのは気が進みません。』


『その辺は僕らでなんとかするんだよ。』


『なんとかって……。』


セシアは眉を潜めた。


『大丈夫大丈夫。真理ちゃんのことは幹部までにしか伝えないつもりだし。事情も話しとくしさ。』

『大丈夫ですか…?』



この人は真面目に考えてるんだか考えていないんだか。



でもまあ、ジルともいろいろ話し合ってくれているんだろう。…多分。





『…それでね、セシア。やってほしいことがあるんだけど。』



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