それでも、まだ。


『え…そんなことが出来るんですか?』


『普通は出来ないよ。でも、セシアは出来た。』


『なんでですか?』



神田は呆気に取られていた。

――意味が分からない。どうして死んだ人間を生き返らせることが出来るだろうか。



『真理ちゃんこの世界に来る前に、老人に会ったって言ってたでしょ?その老人のおかげで、セシアもこの世界に来て、生き返ることが出来たんだよ。僕たちはそれを手伝ったってとこかな。』



『…あの老人が…。』



神田はひとり昨日会った老人について考えながら、あることに気づいた。



『…え!?ちょっと待ってください!な、なら私も死んでしまったんですか!?』



神田は慌てて身を乗り出した。


神田の慌てっぷりにレンは一瞬目を丸くしたが、すぐに吹き出した。



『アハハハハっ、まあそう考えるよね。ハハ、大丈夫、死んでないよ。』



レンは涙目になっていた。



神田は急に恥ずかしくなって、俯きながら、よかった…と小さくつぶやいた。



『この世界に来ることと、生き返ることは違うからな。知らなくても仕方ない。』



ジルは隣でまだ震えているレンを肘で肭きながら口を開いた。



『でも、どうしてセシアさんが?それに、セシアさんは人間ですよ?』



神田は頬を少し紅くしつつ、顔を上げた。



『それは…分からない。ただ、生き返るためには、Seakになるしかなかった。人間界では、セシアは死んだことになっているからな。』


『人間からSeakになることは出来るんですか?』



『…それは出来る。薬があるんだ。逆は出来ないがな。』



ジルはこれくらいの、と指で示しながら言った。



そしてようやく笑いが収まったレンがジルに強く肭かれたであろう脇腹を摩りながら口を開いた。



『そのときにセシアの記憶を無くしたんだよ。そしてこの仕事を教えたんだ。…僕たちがね。』



レンは真っ直ぐに神田を見つめた。

その表情は笑っているようで笑ってはいなかった。



――自分の反応を見ている。



そう直感で感じた。


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