それでも、まだ。
――2時間後
『あ、あかん!もうお終いや!!』
シキは切羽詰まった声を上げた。
その逞しい腕や額には汗がたくさん浮かんでいる。
『セシア!大丈夫か!?俺はもうあかん…!せめて、お前だけでも…!お前だけでも生き残ってや…!』
『…1人で演技してて楽しいですか?』
セシアは冷ややかな眼を倒れこんで遺言を残そうとするシキに向けた。
すると数秒の間をおいてシキはカバッと起き上がった。
『なんやねん!この薬物の量は!もう段ボール50個もあるで!いい加減疲れたわ!せめてノッてくれよ、セシア!悲しいやろ!』
『最後らへん私に当たってません?』
セシアたちが地下に入ってから黙々と作業を始めて早2時間。
薬物が出てくる、出てくる…。
いくら筋肉質で体力自慢のシキでも、薬物を集めて段ボールに詰め、さらに建物の外に運び出すという単調で長い作業には、根を上げてしまった。
対するセシアはと言うと。
『なんでそんなに汗かいてへんのや…。』
シキはグッタリとしてセシアを見た。
セシアは汗一つかいていなかったのだ。
『…疲れてますよ?私、元々あんまり汗をかかないんです。』
…これは記憶が無くなってから
気づいたことだが。
『そうなんや?全然疲れているように見えへんで。あ、水くれ。』
『結構きてるんですよ…。さっさと終わらせましょう、後3箱です。…どうぞ、水。』
セシアがペットボトルを渡すと、シキは一気に水を流し込んだ。
『……プハーッ!生き返ったわ!よし、早く終わらせるで!』
シキは立ち上がると、大きく伸びをした。
その様子に、セシアはクスリと笑った。
――ピリリリリッ
そのとき、シキの無線が鳴った。
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