それでも、まだ。
能力と発見
神田が組織に来てから早2週間。
幹部の人達の間で『料理の達人』と呼ばれるようになった神田は、毎食料理を作ることが習慣となっていた。
だが神田には、もうひとつ習慣になったことがある。
『ごちそうさまでしたー。』
『お粗末様です。…あ、皿はそのままでいいですよ。』
朝からおかわりを3杯もして尚且つシキの分も横取りしたレンが食べ終わったのを計らって神田は皿を片付けようとした。
『いいよいいよ、たまには休んでてよ〜真理ちゃん。』
『でも、レンさん仕事が…。』
神田が申し訳なさそうに言うと、レンはへらりと笑った。
『大丈夫大丈夫。僕は今日そんなに早くないから。…それに、もう僕が最後でしょ?後はやっとくからさ、書斎に行っていいよ?』
レンの言葉に、神田は顔をパッと輝かせた。
その神田の分かりやすい表情にレンは噴き出した。
『アハハっ、ホント好きだよね〜。楽しい?本読むの。』
『はい!大好きなんです!』
――そう。
神田のもうひとつの習慣とは、朝食の後に、書斎に行き、本を読むことなのだ。
それはもう、ひたすらに。
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