それでも、まだ。


そこでまず目に入ったのは、対峙しているジルとシキだった。



2人とも大分打ち込んでいるのか、大量の汗を流していた。



『はぁっ……はぁっ…!…そろそろ、決着…つけようや…ないか、ジル……!』


シキがニッと笑って持っていた木刀を握り直すと、ジルも少し笑って態勢を整えた。



『っ……あぁっ……!』



そこで暫しの睨み合いが続いた。



――気を抜いた方が負ける。


神田は直感でそう思った。

神田もレンも、固唾を飲んで2人の動きを見守った。



先に動いたのはシキだった。



『こっちから行くで!!うぉぉぉぉ!!!』



シキが木刀を振りかざし、一気に振り下ろすと、ジルに向かって地面が大きく割れ始めた。


そのままジルを飲み込もうとするが――…。



『…お前はいつも力が入りすぎだ。…ICE・Shut。』


シキが何かを言って木刀を地面に突き刺すと、割れてきていた地面を飲み込んで今度は凍り始めた。



『な、なんやと!?』


シキが驚いている間に、ジルはシキの間合いに踏み込んだ。



そしてそのままシキの後ろをとると、木刀を首に突き付けた。



『……勝負あったな。』


『うっ…!あぁー!!くっそー!!また負けたわ!!』



シキが木刀から手を離すと、ジルもシキから木刀を下げた。



『…まだまだだな。』


ジルがフッと笑うと、シキは顔をしかめた。



『次は絶対勝ったるからな!』


『……何回も聞いた。』


『なんやと!?』



ギャーギャー言い合っている2人をよそに、神田は鳥肌を感じていた。



――すごい殺気だった。


そして人間離れした技の数々。


これが殺し屋Seak――…。



神田は改めて肌で感じたのであった。


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