それでも、まだ。


――ガラガラガラ


『…ジルさーん…?』



神田が古い引き戸を動かすと、建て付けが悪い音が響いた。


『よっと……。』


頭がやっと入るくらいに引き戸をなんとか開けてそこから給水所の中を頭を入れて窺った。



『あれ…?いない…。』



身体をなんとか給水所の中へ滑り込まし、部屋の電気をつけた。


神田は辺りをグルリと見回した。


給水所は古い感じがあったが、よく使われているのか、埃などはほとんどなかった。



『…台所と少し似てる…。此処の方が少し狭いかな?』



神田はキョロキョロとしながら辺りを物色していると、テーブルの上に真新しいコップを見つけた。



―ジルが使ったのだろうか。



『…とりあえず、みんなの分の水を持っていかないと!』



神田は思い出したようにひとり呟くと、冷蔵庫の扉を開けた。


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