それでも、まだ。


『ない……。』


あれから5分。



神田は冷蔵庫を始め、至る所を探したが、水がどこにもないのだ。



『水道水をそのまま使うのもちょっとなぁ…。』



神田は困り顔になりながらまだ唯一調べていない食器棚の1番上の棚に背伸びをして手をかけた。


――が。



『きゃあぁぁぁ!』



――ガッシャーンっ



開けた途端、中に物がたくさんあったのだろうか、それとも神田の開け方が悪かったのだろうか、勢いよく鍋などが神田の頭上を襲った。


『痛ぁ……。』



神田は頭を摩りながら散らばった物を片付け始めた。



『あー、派手にやっちゃったな…。』



神田が元に戻そうとして鍋を持ち上げると、ヒラリと何かが隙間から落ちた。


『ん?何これ?』



神田が落ちたものを拾い上げてよく見てみると、それは写真だった。


そしてそこに写っていたのは。




『…え…!?』




紛れも無いセシアだった。


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