それでも、まだ。
『…敵を前に、考え事はよくないなぁ。』
『――っ!』
ガンッ
気付いたら、セシアの木刀は弾かれ、修業場の入口近くまで飛ばされてしまっていた。
『………はぁ…はぁ…っ。』
セシアが何も言わずに木刀を取りに行き、戻ってきて再びレンに向き直って構えると、レンは苦笑いを浮かべた。
『…まだするの?セシア、今日はもう止めておいた方が…』
『まだ、やれます!』
セシアに異変を感じて心配したレンだったが、セシアの気迫に押し黙った。
『…分かったよ。でも、次で最後だからね。』
『……はい。』
そして2人は構え直した。
そのとき誰かの気配がしてセシアがチラリと入口の方を見ると、ベルガとジル、そして神田がいた。
神田の心配そうな顔を見て、セシアは胸を締め付けられるような気持ちになった。
――…どうして、神田を見ると自分は…。
その一瞬の隙を、レンが見逃すはずがなかった。
『よそ見も禁物だよ、セシア!』
『―…!』
―パンッ
一気に距離を詰めてきたレンに我に帰ってなんとか受け流すと、セシアは技の構えをとった。
『……雷風波っ!!』
そしてセシアが木刀に雷風を伴わせレンに突きを炸裂させようとした。
『…その技、なかなか上手くなったね。でも、甘いよっ!』
レンは直ぐに木刀に炎を出すと、綺麗にセシアの技を受け止めた。
そしてそのままセシアを押し返した。
『……くっ!』
すぐさま制を立て直したセシアだが、先程までの打ち合いのせいで直ぐに息が上がってしまう。
またお互いに構える2人。
セシアは息を整えながら、レンの隙を伺った。
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