時を止めるキスを


彼氏がいるだけマシじゃない。婚活の時間や費用も不要なんだよ?と、悠々自適な実家暮らしを脱する気はさらさらなくて。


お互いを適度に必要とする相手と、会いたくなった時に会えるこの環境がベスト。


別に急ぐ必要もないし、結婚も籍を入れたくなった時でいいのに、なんて持論まで築いていたくらいだ。


——相手にあっさり捨てられて、初めて自分の甘さを痛感するとも知らないで。


どうやら母の口酸っぱいお小言をアドバイスとは捉えず、疎ましく思っていた娘にバチが当たったらしい。


愛情表現が重ければ重いほど、相手は鬱陶しく感じると知っている。私だって、いちいち束縛されるのは大嫌いだった。


程よい距離で付き合うのが長続きするコツ、なんて決め込んで過ごしてきた。


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