時を止めるキスを
「……は?」
「だから、付き合ってるよね?」
まさに青天の霹靂。目を見張ったのも束の間で、二度も核心に触れられた私の表情は一気に強ばってしまう。
「……な、にが、です?」
「ふふ、意外に嘘つくのが下手だよねぇ」
どうにか笑顔を作ったものの、彼女の方が一枚上手。一笑に付されると、上手い返しも出来なくなる。
「あの、柚さん、なぜ」
目の前には出来立てを示す匂いを立てる定食があるのに、その向こうには食欲を奪う張本人。
飄々と聞いてくる彼女の意図が読めず、混乱しながらも必死に言葉を紡いだ。
「首を突っ込まないのはマナーって分かってるけど、ごめんね。
やっぱり、ふたりのことが気になるんだよね」
「そ、んな相手……」
「じゃあ、今ここで名前出しても良い?」