時を止めるキスを
いっそこのまま、チーフの誘いを何も考えず受けてしまいたい。そう出来たら私は、どれほど喜悦に満ちるのだろう?
「……もう大丈夫ですよ?」
「——何が言いたい?」
勤務中に受ける容赦ない態度とは比にならないほど、鋭利な視線が冷たく突き刺さる。
さらに抑揚のない淡々とした声は苛立ちを含んでおり、あまりの辛さで早くも目の奥に痛みを感じた。
ここで踏ん張らなければ、涙なんて一気に量産出来そうなほどに……。
「……もう、終わりに、して下さい」
上司と部下の関係に戻るには、ここが限界地点。——何より、チーフの彼女さんに気づかれる前に正しいところへ戻って欲しい。
私がチーフのセフレであり続ければ、その傷口は治りようもないほど広まっていくから……。