Blood Smell
ふとカレンダーが目に入った


「先生…今日は何曜日?
私…学校…!?」


起き上がろうとしたが体が動かない


先生がそっと両肩を押さえてベッドに戻す


「月曜日の朝方だよ。
学校は心配しなくていい。転落事故による骨折で冴は一週間の自宅療養だ。」


「“転落事故”!?」


スラスラと語る先生に私は驚きを隠せない


「冴の保護者に説明するためにどうしても嘘をつく必要があった。

シナリオはこうだ。
冴は外泊した翌朝、散歩中に不注意で公園の階段から足を踏み外し転落。
たまたま通りかかった俺が発見し、病院へ連れてきた。」


先生の自信満々の顔から見れば完璧な裏工作がしてあるのはあきらかだった



はぁ…



身動きの取れない体に苛立ちを覚えながら
先生の手を探す



そっと触れたのは
氷のように冷たくて
雪のように柔らかい
大きな手


どんな鎮静剤よりも
この掌が私を安心させた
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