Blood Smell
その安心の中で疼く痛みと一緒に思い出した


「エリザベスは?」


私の質問に少し顔をしかませて先生が答える

「イギリスへ返した…。
冴…エリザベスのこと本当にすまなかった。」


深々と頭を下げる先生
私にはそれが辛かった


エリザベスの行為を先生が謝るのは…先生がエリザベスをかばってる気がする


「いやだ。
先生がエリザベスのために謝らないでください。」


まぶたにたまる涙

よかった

仰向けに寝ていて
まだ溢れる事はなさそう


「冴…。」


先生の額が私の額とくっついた


先生のキャラメル色の瞳が輝く


私の心拍数も上がる


「もう、二度とそんな思いも、こんな痛みも感じさせないから。

約束するよ。
何があっても守る。もう二度と1人にはしない。」


人間として
ヴァンパイアとして

先生が私にくれた約束


冷たいキスと一緒に
私に絶対の安心感を与えてくれた
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