Blood Smell
先生はゆっくり私と見つめ合う


先生の瞳に写る私の顔


鼓動が早くなる

顔が熱くなるのが分かる



「人間だから。」



え?




「冴には匂いがある。鼓動がある。今みたいに顔を赤くするのが可愛い。


そして
この…」



いきなり先生に抱き締められた


「温かさ。
熱を持たない俺を優しく暖めてくれる…。

あと、命を脅かすほどの危険な俺を真っ直ぐに見つめて…好きだと言ってくれるとこかな。」



涙が込み上げる


はじめて知った先生の気持ち


人間だから私が好きだと言ってくれた



私のそばにいるために
先生はきっと多くのことを犠牲にして
物凄い努力をしてるんだよね?



そこまでして私のそばにいてくれる先生が


誰よりも


「好き。」



私から先生の唇に触れる


氷菓子のようなとろける感触が私を包んだ
< 126 / 303 >

この作品をシェア

pagetop