Blood Smell

疑惑と予感

休み時間
私は生物準備室も前に立った

一呼吸置いてノックする

「はい。」

変わらない声が聞こえた

なぜだか安堵のため息が漏れる

「失礼します。」

私はドアを開ける

生物準備室の暗幕はしまり
中は電気がついていた

「準備するものはありませんよ。」

私が何か言う前に先生は言い放つ

いつもならこのまま帰るんだけど・・・
今日はそうは行かない


この疑惑を
なんとしても解明しなきゃ



「先生。
昨晩は助けていただいてありがとうございました。」

作り笑顔で先生に軽く頭を下げた

「昨晩？
私は知りませんよ。何か勘違いしてませんか？」

先生は表情一つ変えずに言葉を返した
私も負けじと言葉を返す

「勘違いじゃありません。
先生はお忘れですか？
昨日駅前の公園で男に絡まれた私を助けてくれたのを。」

真っ直ぐに先生を見つめる
先生の髪はいつもと同じキャラメル色
先生の瞳はいつもと同じ黒っぽい赤色
肌は透けるように白い


昨日の面影などどこにも残っていなかった
そして


2本の牙も無い・・・