Blood Smell
『三年生の男女はスタートラインについてください。』


アナウンスが響いく
私はダラダラと重い足を引きずって


スタートラインに付いた集団の一番後ろに立った


だって
中途半端な位置とか最前列だと転ぶかもしれないし



それに
私は完走できれば幸運だって思う


上位入賞なんて
皆が後ろ向きに走ってくれない限り絶対に無理



『位置について!』



少し姿勢を低くして肩の力を抜く



視線の先に先生が見えた


私の視線を捕えた先生は
優しく微笑む




カァァァ!

冷めきった顔に一気に血液が集められるのがわかった

『よーい…スタート!!』

動きだした周りに気づいて
慌て私も走り出す




もぅ!

今は走るのに集中しなきゃ…



ただでさえ
鈍足なのに…余計なこと考えてたら完走すら夢に消えるよ




そうして
私たちはグランドを後にした
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